こんにちはメッシーです!今日はダムの構造Part2として放流設備についてご紹介します。
ダムは水をせき止めるのが主なお仕事ですが、水を流す事も大切な仕事です。
そしてこの放流がまぁカッコイイこと!有名なダムでは観光放流として日に数回くらい
見世物としての放流を行っています。普段我々の目に触れる水量とは圧倒的に違うダムの
放流を間近で見ると水しぶきでビチョビチョになりながらも感動を覚えます。
もし、観光放流を見た事がなければ一見の価値ありです!絶対に見てくださいね!
あっ。ダムのホームページで観光放流の時間帯を調べて行く事をお忘れなく。
放流設備の用途
ダムは水をせき止めますが、止めるだけではいつか溢れてしまいます。
また、ダムが水を流してくれないと下流の川には水が無い状態となるので、安定した
水量を調整する事ができず、ダムが溢れたり、川が濁流になったりしてしまいます。
という事でどんな時に水を流すのかについてお話します。
洪水吐き(こうずいばき)
洪水吐きとは主に治水を目的とした放流設備です。
常用洪水吐き
通常はこちらを使って下流に流す川の水量を調節しています。
ダムによっては常用洪水吐き意外に水路を設けたり、「魚道」と呼ばれる魚が通れるような
水路を設置して、川に安定した水を供給しています。
魚道が無いと鮎やサケなどの川を登る魚は絶滅してしまいますよね・・いやぁダムは
優しいなぁ
非常用洪水吐き
通常は常用洪水吐きで水量を調整しますが、その処理可能能力を超えた場合はこちらの
非常用洪水吐きで調整します。まぁ調整といってもキャパをオーバーしちゃったから
変なところに流れ無いように溢れ方を制御してるだけですけどね。
多くの場合は堤頂付近に溢れた時用のゲートを作っています。
利水吐き
洪水吐きは治水を目的としているのに対して、利水吐きは農業用水(用水路に流れてるやつ)
や工業用水を取るために設けられています。
放流設備の設置場所
放流設備の設けられている場所によって呼び方があります。正直あまり覚える意味はなさそう
ですが、ダムをまわっていて耳にする事も多いのでご紹介します。
クレスト
「クレスト」とは頂上という意味があるそうです。なんかエベレストとかの登山でも聞いた
事があるような?という事で堤頂付近から水を流すところです。非常用洪水吐きの用途で
使われる場合が多いです。頂上まで水が来てるという事は満タンですからね。
オリフィス
「オリフィス」は”穴”という意味だそうです。要するにダム堤体の中腹に作られる穴です。
穴が中腹にあるので、ダムの水量が少なくても水を放流する事が可能です。
水量調節を目的とする常用洪水吐きの用途で使われる事が多いです。
ゲート
水量を調節するためには放流設備にゲートを設ける必要があります。
規模や用途により色々な種類のゲートがありますが、代表的なものをご紹介します。
ちなみに、ダムの数え方の単位は「門」(もん)です。なんか戦艦の主砲みたいでカッコ良い
ですよね!
スライドゲート
分厚い鉄やコンクリートの板を溝に挟み、その板を上下に稼働させる事で水量を調節します。
原始的なゲートですが、水圧で板と堤体の間にものすごい摩擦が発生してしまうので、
ゲートを開くのにエネルギーが必要になります。また、ゲートの消耗も激しいです。
あ。たまに用水路とかで見かけるゲートも一応スライドゲートですね。
ローラーゲート
スライドゲートは水圧で板と堤体の間に摩擦が発生するので、板にローラーを取り付けた
のが、ローラーゲートです。大量の放水を行うゲートで良く使われます。
ローリングゲート
円筒形のコンクリートを上下させる事で水量を調節します。イメージ的には学校の校庭で
グランドを均すために使われてる筒状のコンクリート(野球部とかがいつも転がしている
アレ)がゲートの中で稼動できるようになって水をせき止めてる感じです。
あまりメジャーでは無いですが迫力があって好きなので載せちゃいます!
ラジアルゲート
ゲートの表面が円弧状になっていて、堤体に設置された軸に繋がっています。
その軸を中心に円弧状のゲートが上下するという仕組みです。
すごく説明が下手なのは自覚しているのですが・・畑仕事て使う鍬(クワ)をゲートに
突っ込み、軸である手元で上下させるような感じです。
フラップゲート
水門の底に板を置いて、それを上下させる事で水量を調節します。
飛行機の羽についていて空気抵抗を変えるフラップと原理は同じですね。
これも結構見かけるので覚えておいてください!
バルブゲート
堤体の中央付近に設置する「オリフィス」限定ですが、水門がバルブ形式になっている
タイプです。消防車のホースの先から放水されるものが物凄い大きくなった物だと
思ってください。他のゲートは水量の調節しかできませんが、バルブゲートは水を
霧状にする事ができるので、下流の河川(特に落下地点)にダメージが少なく、
環境に優しいそうです。
黒部ダムもバルブゲートを採用しており、観光放流は圧感です!
次回はダムができるまでの工程をお話ししようと思ってます。お楽しみに!